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本当に援助を必要としている人を助けるには?

今日は朝早くからナバホ族の行政の方々とのミーティングがありました。都市の様に建物が集約していないので、ある所で会議をするとなると車で1時間以上かけて来るのもザラですが、朝は8時前から始まるのです。日中が暑いからなのか、クーラーのある近代建築の行政の建物が快適なのか、意外にもナバホの人たちは早朝勤務で働きものなのです。

A Navajo girl at a hall.

今日の会議の目的は今後の私達の住宅支援先となるクライアントについてです。ここ数日ナバホの行政の方々と話し、クライアント候補のナバホ方々を訪ねて初めて分かりましたが、住環境が劣悪で本当に住宅が必要な人に私達のプログラムを提供する事はなかなか難しいのです。私達NPO、ナバホ行政、クライアント、各視点から、それぞれ何故私達NPOとクライアントとのマッチングが困難なのかをまとめてみました。

私達(DesignBuildBLUFF)から起因する理由:プロジェクト予算

プロジェクト予算に限りがあり、インフラ工事は負担することが出来ない。行政の手助けでインフラ整備は任せたとしても、水、電気、が無い場所での工事は割高になり、敷地までの道が荒いオフロードの奥にある場合には、重い資材をトレーラーで運ぶことが出来ない。そして、インフラ整備のある土地に住む人は住宅や仕事を持っており、結果的に希望に沿う敷地を考えると、クライアントが比較的豊かな暮らしをしている家族になってしまう。

ナバホ行政から起因する理由:書類(土地借地権)

ナバホ族の居留地はナバホ族でないと住むことが出来ません。ただナバホ族であれば誰でも先祖代々の土地にただで住めるものだ思っていましたが話を聞いていると誤解であった事が分かりました。基本的に一世帯に1エーカー(4047m2)の土地を $1/年で行政が50年ほどの定期借地権で貸しているのです。そして私達はそうした土地の所有権をしっかり確保しているクライアントに対して住宅を供給する分けですが、面倒な行政とやり取りを交わし(一枚紙のやり取りに、郵便網が整っていないこともあり、半年ほどかかります。)、しっかりと書類を用意できるクライアントとなると、やはり比較的豊かな暮らしをしている家族になってしまいます。

クライアントから起因する理由:プロジェクトへの理解

DesignBuildBLUFFは住宅支援NPOである前に、建築教育NPOです。教育を掲げて、学生の創造の場であるためにデザインはやや奇抜であり、実験的なデザインを行うことも良く有ります。そういった私達のコンセプトを理解して、学生に対して寛大な気持ちをもってくれるクライアントで無ければ、コミュニケーションにズレが生じてしまい、頑張って住宅を完成させても、結果的にクライアントがその住宅を気に入ってくれずに、悲しい結末を迎えることになってしまいます。

また、過去の歴史から、そもそも白人に心を開かない、「住宅が必要だ、援助をしてくれ」とナバホ行政に訴えることが出来ても、白人の私達、ましてや宇宙船の様なものを作る私達に心をひらくことは出来ない、といった例も良くあります。

DesignBuildBLUFFのプロジェクトを理解してくれるクライアントは、往々にして教育を受けており、英語を話すことが出来て、社交的な性格(主に女性)、とここもまた貧困層では見つからない家族になってしまうのです。

Checking the potential site.

行政の問題である書類の問題には口出しをすることは出来ませんが、問題が私の中で明解になったことは大きな進歩でした。「助ける求める人たち(貧困層)に対して、実験的な住宅を立てることはまちがっている。」という意見を以前耳にしましたが当時はその意味があまり理解できませんでしたが、やっと理解できる様になりました。エゴのあるデザインではなく、意味のあるデザインで問題を解決しなければなりません。

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