Sundance映画際もあとは結果発表を待つばかりとなり、街は最後の週末を楽しむ人々でにぎわっています。
そんな中、最後にドキュメント短編映画を集めた作品を見に行ってきました。その一つにアメリカ人監督によって3.11の津波と桜をテーマとした作品があったからです。ちなみにこの作品は今度のアカデミー賞にもノミネートされています。
ここでは上映時間100分の間に短編映画が6本収録されており、それぞれ厳しい審査を勝抜いた作品らしく、全く異なる趣向のドキュメントを一度に見ることが出来ました。これはとてもおもしろい初経験でした。ただ、座席がかなり前方であったためか、ドキュメント映画で画像が揺れるためか、一部の作品で完全に「画像酔い」をしてしまい、映画を見ていてノックアウトされた初体験もできました。。。
6作品中、私が素晴らしいと思った3作品がインターネットでも一部観覧可能だったので紹介します。
①AQUADETTES (動画はここをクリック)おばあちゃん達のsynchronized swimming映画です。活き活きとした表情が魅力的で、私もおばあちゃんになっても笑顔でサーフィンをやり続けたい!と思いました。
②INTO THE MIDDLE OF NOWHERE (動画はここをクリック)なんともかわいらしいこども達の想像力に改めて気付かされ、その想像力を寛大に受け入れる自然、森の存在に脱帽しました。
③THE TSUNAMI AND THE CHERRY BLOSSOM (動画はここをクリック)衝撃的な映像から始まってしまうので涙がとまりませんが、この事実を広く伝える作品として是非世界中の人に見てもらいたい作品でした。自然の脅威と、癒し、日本人の自然との付き合いかたが描かれています。
一週間に映画3本、何とも贅沢な日々でした。映画は本と同じで視野を広げて、気付きをくれます。明日からまたユタ南部の砂漠に戻り共同生活と現場作業の日々に戻りますが、とってもいいリフレッシュができました。
Sundance映画際には毎年1〜2本の日本映画も参加しています。今晩はそのひとつ “About The Pink Sky” が予定されていたので、「よし、チケットを買いにいこう!」という所から一日がスタートしました。
事実上は全映画チケットがsoldoutなので、チケットが欲しければ券売所でで並んで待つしかありません。朝8時からの発売と聞いていたので朝の散歩ついでに8時に到着すると、、この街では見たことの無いすごい人だかりができていました。みんな手には映画際のプログラムと鉛筆を持ち、それぞれ自分の見たい映画の枠に印をしたり、各会場の交通手段を調べながら、今日一日をどう楽しむか、自分なりのプログラムを計画しています。会期中は毎朝この様子で、列の先頭は夜明け前から並んで列を作っているようです。夜のBarだけでなく、早朝から映画際は盛り上がっていたのだと知りました。
結局、時間のあった私は一人じっくりと並び、見事チケット入手!ゆったり出社となりました。
迎えた夜、”About The Pink Sky”は22時と遅い上映時間でしたが、見毎満席、映画の監督である小林さんも日本から来ており、舞台挨拶をされていました。マイクから日本語が流れるのは何とも新鮮で、いつもより大きな拍手をしてしまいました。
映画は女子高生がある財布を拾ったことで起きる話でした。時代設定は現代であるものの白黒映画だったことで、視覚のギャップが生まれてなんだか不思議な感覚に包まれながら楽しむことができました。
また映画のシーンには工事現場に取り付けられる騒音測定器、普通の街の交番、線路の踏切音、神社の門の前で頭を下げる通行人、火葬場、などなど私にはスッと理解できる背景たちが、一緒に見ているアメリカ人にはどこまで伝わっているのだろうと興味を持ったり、勝手に自分も作品の関係者の様な気分で作品を「見守って」いました。これも一つの愛国心なんでしょうか。とにかく日本の才能が世界の人々に触れる機会に立ち会えてうれしい夜でした。
アメリカの建築物に関する国際省エネルギー規定(IECC:International Energy Conservation Code)のセミナーに参加してきました。
私が見る限り主なアメリカ人の生活は、一人一台車を持ち、真冬でも室内はTシャツ、ゴミのリサイクル意識は低く、エネルギー資源を無限に捉えている様です。ただそんな国民意識の改革の必要性か、逆にエネルギー効率を促進することが急務となっており、省エネに関する様々なキャンペーンや、それらに関わる法制化はアメリカでは随分盛んに行われているようです。今日参加させて頂いたセミナーも施工や設計の専門者に無料で開催され、普段現場で働くプロの方々が積極的にセミナーに参加し、熱心な勉強会でした。
主な省エネ基準は私が日本で学んだものに近く、馴染みのある内容でしたが、アメリカならではと感じた基準もいくつかあったので紹介します。
①アメリカは暖かい地域から寒い地域まで気候範囲が広く、州によって省エネ基準が違い、各州がそれぞれ独自に省エネ基準を法制化しています。8割の州がIECCの省エネ基準として採用しており、米国エネルギー省は、各州独自の建築規定を達成する取り組みのために、助成金を出して応援しています。
②特に断熱規制に関しては細かく規定され、窓のためだけの省エネ性能を認定する団体(NFRC)が特別に存在しています。断熱・気密性能など、窓に必要な性能は全て数値化され、誰が見てもわかるようになっています。今まで私たちの現場に寄付された窓に貼られているシールの意味を今日初めて知ることもできました。(窓メーカー名、商品名、製品詳細、日射熱取得率、可視光線透過率、気密性などが数字になってすべての窓に貼られているのです。)
③断熱性を重視するため、アメリカでは多くの地域で断熱性の高い樹脂窓が採用されています。日本にいた頃にはサッシといえば「アルミサッシ」と考えていましたが、こちらでは殆ど樹脂性です。「樹脂性はデザイン性が低い」という認識を日本にいた頃に植え付けていたので、アメリカに来てから「あれ?みんな樹脂サッシだ。」と驚いていましたが、今日、その理由が理解できました。
これからの時代、省エネを意識せずには建築をやれない様です。勉強しなければ。
仕事を終え、家でくつろいぎながらTVをつけたところ、今晩は “STATE OF THE UNION 2012” が行われていました。(アメリカの議会による特別な招待で、大統領が上下両院議員に対して行う演説。日本語では一般教書演説)ほとんどの局がこの放送だったので、私たちも今晩はオバマ大統領の演説に浸ることにしました。
この演説は毎年この時期に特別に行われるもので、野次は禁止、反対意見があっても拍手しない程度の態度で行われるようです。そのためか華やかさがあり、いい雰囲気の中とても聞きやすいものでした。実際、演説中には何度も議員による Standing-ovation がありました。内容は景気、税金、軍隊、資源、などお馴染みの話題です。最近はオバマ大統領の支持率の低下なども耳にしていましたが、やはりオバマ大統領の演説はすごい。力強い目線、言葉使い、すっかり魅了されました。
アメリカは20世紀と同じ様には世界をリードできないと思いますが、少なくとも今日の演説からは「理念ある政治」を感じることはできました。ふと、(今まで日本の政治家の話に耳を傾けたくなったことってあったかな?)と日本政府と比較してしまいました。プレゼン大国の力を見せつけられた夜となりました。
今日は早朝から仕事をさぼって映画鑑賞。毎年この時期にはParkCityが主会場となってSundance Film Festival という大きな映画祭が行われるのです。この期間は全米を中心に世界中から観光客が集まり、Snow Resort と相まって街がとても賑わいます。図書館を始め街の大きな施設が映画館となり、数カ所の会場で朝8時台から深夜過ぎまで様々な映画が上映されているのです。
チケットは売り切れなものの、朝一番はチケットが手に入り易いという情報を聞き、今日は友人らと朝から会場へと向かいました。運よく、朝一上映されるある映画のプロデュサーが余りチケットがあるとのことで、そのまま映画館に突入することができました。
映画は”Smeshed (酔った)”という題でアルコール依存の若いカップルを主人公にしたものでした。重いテーマですが、音楽や映像が気が利いており、観客の拍手喝采を浴びる映画でした。私もとても気に入りました。映画の後には監督から俳優人まで主なスタッフによる舞台挨拶がありました。全員とても若いことにびっくり、ほとんど30代だと思います。華やかな映画業界とそれを取り囲む若いエネルギーが街に充満しています!この空気をたくさん吸っておこうと思います。